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2011年09月01日 [院長コラム]

相談だけでお金がかかるのですか?

狭山にクリニックを開院して16年が経ちますが、いままでお電話で幾度となくいただいたお言葉です。
「相談だけで、お金がかかるのですか?」

当院では、初めてご来院いただき、歯並びに関するご相談をさせていただく際に、初心相談料として3,000円+消費税(現在は5%)を申し受けております。これは開院以来、現在に至るまで変えておりません。
3000円は、決して安いとはいえない金額です。それを、ただお話しをするだけで支払わなければならないということに戸惑いを感じられる方も多いようです。特に、現行の狭山市のこども医療制度では、中学卒業までの保険適応治療における自己負担金が無料化されているため(これは本当に素晴らしい制度だと思います)、余計その差に納得のいかない思いをされる方がいらっしゃるのでしょう。
矯正治療は口唇裂・口蓋裂といった一部の先天的疾患や、手術を併用しなければ治療できないような顎変形症(重度の下顎前突等)を除き、原則健康保険が適用されません。つまりは自費の診療になるわけで、当然上記の医療制度の枠外になります。自費の診療では金額の設定に縛りがないため、診療所ごとに自由に料金を決めることができます。つまり当院では、私の考えで初心相談料を3,000円+消費税と決めさせていただいていることになります。

実際インターネット上で矯正歯科のホームページをご覧いただくと、「相談無料」を謳っているクリニックが数多くあります。これですと患者様が気楽に相談できますし、矯正治療の入り口部分の敷居を低くするという点で、院長先生は素晴らしいご英断をされていると、私自身も思います。

では、なぜ当院では初心相談を無料にしないのでしょう。
当院では初心相談に30分のお時間をお取りし、原則私がつきっきりでお話しをさせていただきます。初診のかたは治療方針、期間、そして何より費用のことなど、矯正治療に関する様々な疑問や不安をお持ちです。それをある程度解決・解消するためには、30分というお時間が最低限必要だと考えているのです。そして、(次の検査というステップに進まなければはっきりしないことも往々にしてありますが)その場で判明する、一般論ではない個別の情報を、極力患者様に提供するように努めています。これは、矯正のプロからの個別化された情報提供であり、矯正の本やホームページをみるだけでは得ることができないものです。
当院では、年間百名を越える新しい患者様の受診をいただいており、相談させていただく総時間数も相応のものになります。当然この時間、私は他の患者様を拝見出来ません。もしこの全てを無料で提供させていただくとすると、例えば新しい材料や装置、器械などや患者様の利益になると思われる新規システムの導入など、診療所として進歩していくための余力が削がれていくことになります。そして何より、矯正治療費自体をなるべく低く抑えたいという当院の大切なコンセプトを揺るがすことにつながるのです。
当院には、常勤の矯正医は私一人しかおりません。同じ時間に何人もの患者様のお約束をいただき、流れ作業のように診療をする医院とは治療の進め方が全く違います。当院の考え方にご理解をいただければ、嬉しく存じます。

ただ、最後に・・・。
ご家族でお一人でも相談を受けられましたら、他のご家族の方のご相談は何人でも無料とさせていただいております。これは、当院の考えにご賛同をいただき、ご来院いただいた患者様への、ささやかな御礼と考えております。