院長のコラム
 
 第22回 あらためて抜歯・非抜歯について(2016年7月1日 掲載) 

 前回の更新が今年の元日。読み返してみますと次は1月中か2月には次の更新を、と書いてありました。

 大嘘つきでした。

 もう1年の半分が過ぎました。まあ忙しかったといえば忙しかったのかもしれません・・・が、結局はさぼりです。このコラムを楽しみにしてくださっている方なんておよそいらっしゃらないとは思いますが(涙) 、ようやく前回予告した抜歯・非抜歯について書いてまいります。しばしお付き合いをいただければ幸いでございます。

 さて、ネットで「矯正歯科 非抜歯」みたいなキーワードで検索をかけると、抜歯・非抜歯に関する意見広告的なものがずらりと出てきます。とても良いことを書いてある記事が沢山あるので、身もふたもない言い方になりますがそれらをお読みいただければこの件に関しては十分なのですが、患者様はどれが読むべき「良い記事」なのか分からないかもしれませんので、信頼できる記事の特徴(内容)を以下に箇条書きにします。

1)抜かないで治せる場合もあれば、抜かないと治せない場合もある、つまりケースバイケースであると述べている。
2)抜かないで治せるのであれば、当然抜かないで治すべきだと述べている。
3)抜いて治すべき症例を、無理に非抜歯で治療すべきでないと述べている。

 これだけです。言い換えれば、「安易な抜歯は絶対避けるべき。でも、抜くべき症例には抜歯を選択すべき」 ということ。
 この論調で述べられている記事は、まず信頼できるのではないかと考えます。

 ただ、ここでちょっと考えていただきたいのは、何をもって「治った」というのか、ということです。これは実は矯正治療においては大変に難しい問いかけで、安易に「こうだ」といえるようなものではありません。患者様、矯正医の双方が「よく治ったね」と満足できる治療は幸せな矯正治療です。でも、矯正医が「治った」と考えても、患者様が「これでは満足できない」と感じ、それが第三者がきいても「もっともだね」という合理的な不満であれば、その治療には問題があるといえます。

 矯正治療を、やってよかったと思っていただける「幸せな矯正治療」にするため、その患者様にとってどのような治療方針がベストなのか。誠実な矯正医は持てる経験と知識をフル回転させて診断しています。そして、抜かなければ治せないと判断したら、その方針を責任をもって患者様に提示するのです。100パーセント抜歯しないで治すとか、そんなものはナンセンスの極みです。そのドクターは、単にきちっとした個別診断を放棄しているだけ、言い換えれば「思考停止」しているのです。

 最後に、当然ではありますが矯正医により抜歯・非抜歯の診断基準は違います。あるドクターが「抜歯」と判断したものが、別のドクターは「抜歯しない」という治療法になるかもしれません。ですので、もし診断結果に疑問・迷いがあった場合は、臆せずセカンド・オピニオンをとって下さいね。そしてじっくり時間をかけて考え、十分に納得したうえで治療に入って下さい。

ITO ORTHODONTIC CLINIC